毎夏、60人ほどの優秀な若い弦楽器奏者（ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ）とピアニストがスイス・バールに集まり、気候の良いヨーロッパで2週間学びます。参加者と講師陣が期間中は寝食を共にするのが特徴で、かつての参加者は講習会を振り返り、「音階やエチュード、曲といった通常のレッスンプログラムをこなすだけでなく、美しい自然の中を一緒に歩いたり、作曲家に対する活発なディスカッションを交わしたり、目の前に広がる絶景と比較しながら自由な音について考えたり。今まで出会ったことのない先生に出会えました」と述べているほど。カリキュラムは、個人レッスン、練習、室内楽、室内オーケストラ、パフォーマンスの５項目から構成され、中でもスイス国際夏期音楽講習会の目玉とも言うべきものが、ほぼ毎日夕方に開催されるハウスコンサート。参加者も講師も一堂に会する場で、一人1回演奏する機会が与えられます。そこでの演奏を認められた生徒はさらに、チューリッヒ市内で行われるコンサートへの出演が決まります。チューリッヒから電車で約1時間程度にある、山々に囲まれた湖と田園風景が広がるツーク州の町バール。暮らし丸ごと思う存分音楽に集中した経験というのは、個人レッスンの時間だけに留まらず、一人ひとりのその後の音楽家人生においてきっと、かけがえのない宝物としていつまでも心に残ることでしょう。