ドイツ・ケルンの東約30キロに位置する、小さな町キュルテン。作曲家シュトックハウゼンは、1965年から2007年に永眠するまでこの地で滞在し、創作活動を続けました。そして、シュトックハウゼン音楽財団により、シュトックハウゼン存命中の1998年からこの町で毎年国際的なコンサートや講習会が行われています。後進の指導にも熱心だったことで知られるシュトックハウゼンは、この講習会で自身の作品解釈や演奏についての指示を与え、世界中から集まる演奏家や作曲家の創造性を大いに刺激してきました。シュトックハウゼン没後も、彼の音楽を伝えるべく、コンサートやマスターコース、レクチャーが行われます。講習会期間中は9回のコンサートが催され、コンサートに向けての準備やリハーサルから、参加者自身の音楽的創造性を重視しシュトックハウゼン音楽を作っていきます。この講習を通して、受講者は通常のコンサート会場では味わえない音楽的刺激を受けるだけでなく、「音楽が出来上がる過程」という、大変貴重な体験をすることなります。マスターコースでは、器楽、声楽、そしてイノリのゼスチャーが行われ、シュトックハウゼン音楽ゆかりの演奏家達が指導にあたります。選抜された受講者は、コンサートに出演する機会があり、音楽学者等によるレクチャーやセミナーでは、作曲家の具体的な作品分析も行います。作品の演奏解釈に欠かせないマイクの位置などの音響技術面についても学びます。この講習会は、演奏家だけではなく、音楽学者や音楽技術者、そしてシュトックハウゼンの音楽を愛するアマチュアなど誰でも受講することができます。講習会場では、シュトックハウゼンの貴重なスコア譜やCD、書籍類を購入することもできるのも魅力的です。