和田浩一郎さん/ドラム/テックサマースクール/イギリス・ロンドン
和田浩一郎さんプロフィール
北海道の地元でバンドを結成し、中学、高校とライブハウスで活動するなど音楽漬けの毎日を過ごす。
高校在学中の2008年より菅沼孝三氏に師事を受ける。
北海道の大学に進学するも音楽を本格的に学ぶため中退、2011年上京。
講師陣が現役プロ集団のメーザーハウスに進学。
現在、パーカッションなどの幅を広げ、サポートドラマーとして活動中。
-まず、音楽歴も含めた簡単な自己紹介をお願いします。
和田 北海道出身の22歳です。音楽自体は中学3年頃から始めました。学校祭に出ようということで友達とバンドを組んだのがきっかけです。本当にプロになろうと考えて、音楽の道を目指し始めたのは高校2年生くらいからなのですが、その時はまだ北海道にいたのでレッスンに通うこともなく、ただバンドをやっているだけでした。
その後、札幌の音楽の先生に教えていただくようになって、もっと音楽を勉強したいと思うようなりました。
その頃ちょうど東京に来る予定があったのですが、その時に今のドラムの師匠となる先生に出会い、約1年は北海道から通いでレッスンを受けていました。
大学には進学したのですが、同時期くらいに上京したいなという気持ちが出てきて。その後も1年くらいは大学に通わせてもらったのですが、どうしても音楽の道に進みたいと思い、中退して昨年の春に上京してきました。現在は東京の専門学校に通いながら師匠が開いているドラムスクールのプライベートレッスンで、音楽づけの毎日を送っています。
-今回はイギリスの講習会を選ばれたわけですが、海外の講習会を受講するのは初めてですか?
和田 そうですね。講習会自体も海外も初めてです。
-テックの講習会を選んだきっかけは?
和田 海外留学のことは深く考えていなかったのですが、海外に出ていろんな音楽を感じたいなと思い、ネット等で調べていました。その時の焦点はアメリカというよりロンドンだったんです。母の知人でロンドンに行かれている方がいて、その方を通じてロンドンで音楽留学をやっているという話を伺っていたので調べていたら、最初にヒットしたのがテックだったんです。さらにもっと深く調べていくと、今年の夏にサマースクールがあると知ったので、行ってみたいなと思いました。
-最初からイギリス・ロンドンで探していたのですね。
参加者はどれくらいでしたか?
和田 ギター、ボーカル、ベースをあわせて50人以上はいたと思います。
-その内ドラムは何人くらいですか?
和田 3つにグループ分けされていたのですが、それでもやはりドラムは30人ほどいたと思います。1グループに10人ずつくらい。その学校の創始者がドラマーということで、ドラムの人数が圧倒的に多かったですね。他にはギターも多かったと思います。
-授業はそのグループごとに受けるのですか?
和田 はい。最初に振り分けられたグループごとにレッスンが組まれていました。
-どんな国籍の方が多かったですか?
和田 フランス、イタリアなどのヨーロッパ中心ですね。聞くところによると、飛行機で1時間くらいの近い距離ということで。私のグループは特にイタリアの人が多かったように思います。
-イタリアってあんまりイメージがないですけど(笑)。
和田 そうですね(笑)。ちなみにロンドン在住の方は1名くらいでした。
-日本人の数はいかがでしたか?
和田 ドラムは私1人、あとギターとベースの方が1人ずついらっしゃって、アジア圏は自分達3人くらいでした。
-そうなんですね。 最近の講習会は韓国の方なども多いと聞きますが。
和田 韓国や中国の方もいらっしゃるかなと思っていたのですが、全くおらずにアジアは自分達だけ。あとはヨーロッパ勢ですね。
-イタリアの方が多いのはびっくりですね。
和田 自分もびっくりしました(笑)。
-レッスンはグループレッスンという形式ですか?
和田 はい、そうです。
-では一緒にセッションしたり会話しながらの進行になるのですか?
和田 はい。最初にグループで基礎的なレッスンを行って、最後の2日間はギター、ベース、ドラムなどが全て集まってライブをするという、大セッション大会のようになっていました。
-実際に演奏しながらの授業になるのですか?
和田 はい。課題曲が3曲ほど設定されていて現地で発表を受けたのですが、その曲への理解度を高めるためにディスカッションしたり、譜面をみながらドラムを実際に使って演奏するというレッスンも用意されていて、その成果を最終日のライブ形式でやりたい人とセッションしよう、というスケジュールが組まれていました。
-内容が濃いですね。ディスカッションなどは英語で行うのですか?
和田 はい、英語で、この曲の構成はどうなっているかとか……。
-英語は話せましたか?
和田 うーん、言っていることはわかるのですが、自分で話すとなると……(笑)。
-難しいですよね、曲の解釈などは特に。
和田 そうなんです。ただ、英語圏ではあるものの私のグループはイタリア人が多く、彼らは英語も話せるのですが母国語はイタリア語なので、英語が堪能なわけではないんです。ですから、英語が行き交ったり、イタリア語が行き交ったりしていました。グループの年齢層は幅広くて、下は16歳から上は40~50歳くらいでした。その中に、私よりかなり年上で英語とイタリア語の両方を話せる方がいて、その方が通訳のように間に入ってくれることもありました。それはそれでおもしろかったです。
-その方がいなかったら大変でしたね。
和田 そうですよね(笑)。
-では語学力も鍛えられましたか?
和田 まさに鍛えられましたね!
-セッションも、会話をしながら行っていくのですか?
和田 もちろん会話もあるのですが、音楽に関しては音で通じ合えることもあって。言葉は多少通じなくても実際曲が始まってしまえば音で会話するような感じなので、その点はセッションでも困らなかったですね。これは今回、改めて気づいたことでした。ボーカルなどは話せないと英語のニュアンスや発音の問題があると思うのですが、楽器、まして私はドラムだったので。
-それを実感できたのは素敵ですね。ちなみに先生方はどんな方ですか?
和田 個性的な先生が多かったです。そして先生というよりは、この音楽に対して一緒に考えてみようというスタイルなんだなと感じました。「ここはこういうフレーズだからこういう風に叩いて」ではなく、「こういう風に叩く人もいるけど、人それぞれだから自分達がどう演奏するか考えてみよう」というように、「先生」というより、一緒に考えて、いろんな奏法について勉強しよう、という感じでした。
先生はレッスンごとに違うのですが、「スティックコントロール1」というレッスンがあったら次の日は「スティックコントロール2」というように、同じレッスン内容がレベル別に組まれていて、それらは教える先生が一緒でした。
-日本のレッスンとは違いましたか?
和田 今、私の行っている学校は少し特殊で養成所のような所なので、さほどの違いは感じませんでした。他の専門学校だと、「ここはこういう奏法で」という「教える先生」の目線だと聞きますが、私は日本にいる時から、そのようには教わっていなかったので、逆に日本と近い先生方という印象でした。
-教わるというより、一緒に音楽を創るという。
和田 一緒に考えよう、みたいな感じです。
-先生と話す機会も多かったのですか?
和田 はい。レッスンは、基礎的なことを一緒に練習パッドを使って覚え、その後実際のドラムで応用してみようという流れで、それを一人ずつ行います。一人ひとりの個性も出るので、自分はこういう叩き方だけど、あの人はこういう叩き方をしているなと思うことも多く、そうすると疑問点も出てくるんです。そういう時は、「この時はどういう叩き方がよいのですか? ここはスネアを一打入れた方がよいのでしょうか?」というように質問します。すると先生が「こうしたらいいんじゃないかな」とアドバイスをくれたり、「あのミュージシャンはこういう風にしているけれど、あっちのミュージシャンはこう叩いていて、人それぞれなんだよ」と教えてくださったりしました。持っている知識は豊富なので、絶対にこれ! というわけではなくて、人それぞれだから自分で考えてみよう、という感じでしたね。
-レッスンでは一人に一台ずつドラムがあるのですか?
和田 いえ、ドラム自体は一台なんですが、練習パッドは人数分あって、パイプイスに座って練習するスタイルでした。
-レッスン以外での自主練習はどうされていたのですか?
和田 自分はほとんど練習していないです(笑)。初日はオリエンテーションもあったので9時開始だったのですが、普段は10時から17時までで、1レッスンが1時間半。10時~11時半、11時半~13時、そして13時からランチが入って、14時から15時半、15時半~17時です。離れたところに教室があったりもするのでその間に移動したりと、かなりみっちりスケジュールが入っていました。
-ではそれ以外の時間に練習するのは大変ですね
和田 他の生徒で1階ロビーに何席かあるパッドを叩いたりしている人もいましたが、自分はあまりしなかったです。朝行って時間のある時は現地の友達と一緒にやったりはしていたんですけどね(笑)。ドラマーの人数が多いので、パッドの数にも限りがあってできなかったりもするんです。
-レッスンがみっちりで練習する暇もなかったんですかね。
和田 そうですね。あとは内容が日本でやっていた基本的なことばかりだったので……。
-なるほど。ではレッスン以外の時間はどこかに行ったりしましたか?
和田 学校が17時に終わるのですが、日本と違って日が長いので放課後は有効に使えるんです。ですので、放課後は紹介してもらったタカイワさんと常に街に行っていました(笑)。最後の日だけ観光するスケジュールを立てていたのですが、これでは何かをするには間に合わない!と思ったんです。タカイワさんは先に行かれていて何かと分かっていらっしゃって。これは放課後の時間を使わないともったいないなと思ってしまって、レッスンが終わってから二人でセンターの街にでて、毎日色々なところに行ったりしていましたね。
-ちょうどオリンピックの期間でしたよね?
和田 ちょうど真っ最中でした。
-街の様子はどうでしたか?
和田 センター、ピカデリーとかオックスフォードサーカスに行くとオリンピックの公式グッズを売っている店があったり、街中が世界の国旗を飾っているなど、オリンピック一色でした。世界各国のサポーターの方もいらっしゃいましたね。
驚いたのが、日本人の多さです。センターでご飯を食べたりしていたのですが、日本食や中華料理、韓国料理のレストランも多くて、聞いたことのある声だなと思うと周りが日本人だらけなんですよ(笑)。歩いていると日本語が聞こえてきたりして、ここは日本か?と勘違いするほど日本人だらけでした。
-オリンピックだったからなのですかね?
和田 そうだと思います。普通に観光で来られた方もいたとは思うのですが。あの期間は特別でしたね。
-うらやましいです。普通はなかなか行けないですからね。
和田 最初に講習会の日程をみた時はビックリしました。
-オリンピックは観にいったのですか?
和田 行きたいと思ったのですが、種目ごとに会場が離れている上、行きたかったメインスタジアムもチケットが必要らしく中までは行けませんでした。でもさすが開催国だけあって、リアルタイムでテレビの放送を観ることができました。
-うらやましいです!
他に観光で印象に残っているところはありますか?
和田 色々なところに連れていってもらいました。アビーロードとかウエストミンスターのビッグベンとか。
-遠出もしましたか? 放課後だと時間的に難しいのでしょうか。
和田 放課後はだいたいセンターメインだったんです。ステイ先がゾーン4だったので。感覚的には遠いと思っていたのですが、バスで30~40分くらいの駅にいって、そこから電車でセンターまでは10分くらいなので、合計1時間でセンターまで出れるんです。最後の日にはロンドンアイの方にも行きました。
いろいろ行きたい所もあったのですが全部まわれなくて……。それでも通過する駅が聞いたことのある名前だったり、向こうで有名な楽器屋さんだったりと、いろんな所に連れていってもらいました。
-電車やバスに乗るのは難しかったですか?日本と同じような感覚なのでしょうか。
和田 日本とは少し違います。バス自体は来る間隔が早いのですが、ボタンを押さないと止まってくれないとか、バスが来る時に手をあげないとスルーされてしまったり……。バス停に立っているだけでは止まってくれないんですよ。
-日本はなんとなく止まってくれますものね。
和田 そうなんです! あとは駅によって最終バスの時間がバラバラで、それにびくびくしていました。
最後の方で、ロンドンのハードロックカフェに連れていっていただいたのですが、結構遠かったんですね。さらに30分待ちくらいで。隣にグッズ店があるので見ながら時間を過ごしていたのですが、気づいたら22時半! 「来るのに1時間くらいかかったよな、最終バスの時間大丈夫かな」と思いながら食事したのですが、その時はこのバスを逃したら帰れないという、その日最後の0時10分くらいのバスで帰りました。
-その時間まではバスが運行しているのですね。
和田 はい。バスというと、地域によっては21時くらいに終バスのイメージだったのですが……。その時はまさか!と思って調べました(笑)。
-宿泊先はいかがでしたか?今回はホームステイでお泊まりいただいたのですが、ホームステイは初めてでしたか?
和田 はい、初めてです。
-いかがでしたか?
和田 周りからいろんな話をきいていたので、最初はどうなんだろう……と思っていたのですが。
-色々とはどんなお話を聞いていたのですか?
和田 最悪なところを想定していたんです、自分の中で。でも想像以上に優しくよくしていただきました。アジア圏の人が住んでいる地域で、周りもタイやインドのレストランが多かったですし、住んでいる方もアジア出身の方が多くて。だからだと思うのですが、シャワーも自由に使えましたし、「ここに行きたいんだ」というと行き方を教えてくれたり。
ビックリしたのは食事ですね。「今日は夕食はいらないです」といって家を出て、予定がかわってしまったので家に連絡をすると「いいよ待ってるから」といって、何時に帰っても出してくれるんです。毎朝「昨日はどうだった?」などと話しかけてくださったりで、とても気をつかっていただきました。
帰国する日も午前中に街に出て家に帰ってみると、「昼食は食べた?」と聞いてくれて少しだけ食べたことを伝えると作ってくれたり、荷物も持って空港まで送ってくれたりと、最後の最後までとてもよくしていただきました。想像以上でした。
-ステイ先の方とは英語で話したのですか?困ったことなどありませんでしたか?
和田 はい英語です。分かりやすい英語でしゃべってくださいましたし、どうしてもわからない時は持参していたiPadで自分の伝えたいことを調べてそれをみせていたので、本当に困ったことはなかったです。何度か電話もしたのですが、その時も私の状況を声で察してくれたり……。
-大きなトラブルはなかったのですね?
和田 はい、全くありませんでした。
-現地の生活を体験したわけですが、日本と違って驚いたことはありますか?
和田 食事の面ですかね。だいたいは想像していったのですが、特に朝食に驚きました。トースト2枚しか出てこない(笑)。
イングリッシュブレックファーストのようなものを想像していたので……。聞いてみると、トラック運転手や重労働をする家庭ではそういうものを食べるそうなんですが、一般家庭はトーストやシリアルとかの簡単なものということでした。
ランチはパックランチが基本らしく、サンドウィッチに小さなチップスくらいで、週末はビッグランチとしてパスタなどを食べるそうです。
パスタと言えば、ロンドンではパスタとスパゲティは違うらしいんです。スパゲティはミートソースとかの一般に日本人が想像するようなもので、パスタは短いペンネのようなものだそうです。その辺のニュアンスが違いましたね。
あとすごいと思ったのはパブ。15~16時頃からセンターに行くと、あちらこちらがパブなんです(笑)。最初はそれを知らずに、たくさん人がいるな、と思っていて聞いてみた所、全部パブの客ということでした。店から溢れかえってしまってうほどの人で、みんなグラス片手に立ってそこで飲んでるんです。ロンドンは20~21時でも日本の夕方のように明るいので、ずーっと飲んでいる(笑)。
本当に夜型ですよね。シアターなどが盛んで終わるのが22時くらい、それ以降に夜ご飯を食べるのが習慣らしくて、店も遅くまでやっているところが多かったり。もっと早く閉まる所が多いのかな、と思っていたのですが。
-では夜も街には人がたくさんいるのですね。
和田 そうですね。むしろ時間が遅くなるにるつれて人が増えてくな、と。それにはビックリしました。
あ、それともう一つ、冷凍食品が豊富なんですよ!
-日本よりですか?
和田 パイとかラザニアとか、電子レンジで温めればできるものが多く、ロンドンの人は日頃から食べているそうです。初日の夕食もたぶん冷凍食品でした。温野菜やサラダも、日本だとある程度種類が決まっていますよね。それが向こうは種類がとても豊富です。カットされた野菜や果物、飲み物もそうだし、パンやパスタの種類も多かったです。
場所にもよるのですが、ラザニア、パスタ、サラダなどを全部自分で選んでテイクアウトして、それを外で食べるというのが多かったですね。小食だと思っていたイギリス人がけっこう食べるのが印象的でした。
-食べ物もおいしかったですか?
和田 まずいところはまずいです(笑)。あ、ファストフードも多いんですよ。日本にもあるピザハットやバーガーキングがあったり、マックなども多くて。
-海外の人とうまくつきあうコツはありますか?
和田 ロンドンの人はフレンドリーなんです。気兼ねなく誰とでも話す。でもそれは自分から話しかけないとダメ。最初に自分が行った時は、「来たな日本人」みたいな空気は感じたんです。でも日を重ねるごとに仲良くなっていき、自分から話しかけると相手も話してくれるし、相手も話しかけてくれるようになったり。
自分から行くことが大事ですね。日本だと、自分から行かなくても何かとどうにかなっちゃうんですよね。日本人は一歩ひく傾向があると思うのですが、海外は自分から動けば動くほどそれに応えてくれる印象があります。
-留学して変わった、成長したと思うことはありますか?
和田 全体的に成長したとは思うのですが、一番は考え方がかわりましたね。行くまでは何かしら迷いの気持ちがあったのですが、行ってみて迷わなくなったというのと、何でも自分から行動しなきゃなと思うようになりました。
前までは自分の中で決めつけている所があったんです。やってみないとわからないことを、自分はできないだろうと思ったり、苦手なものもやる前から「結果はわかるでしょ」という感じでやらず嫌いなことが多かったのですが、ロンドンの方は何をするにも積極的・意欲的で。自分も、「あ~この曲やらないといけないのか」とか「これ明日やらなきゃならないんだな」と思うこともあったのですが、実際にやってみるとわかることもたくさんあって、その経験をしたからこそ日本に帰ってきてある程度のことはくじけなくなりましたし、なんでも自信につながるんだなと思いました。
最後のセッション時の話なんですが、一人ずつセッションしていくことがあって、あまり得意じゃない人は無理にやる必要はないというものだったんです。同じグループだった自分よりもかなり年上の方なんですが、ドラムは叩けなかったんですね、練習の時から。それで、その方はやりたくないと言っていたのですが、「最後なんだしやってみたら?」と話していたんです。一期一会じゃないですけど、やってわかることもあるし、無駄なことはないんだからとりあえずやった方がいいと。それでも、その方はやりたくない、と言っていたんです。でも最後に「君が叩いたから俺も勇気だしてやってみるよ」と言ってくれて。正直上手くはないんですけど、真剣にやっていることがとても伝わってくるんです。それをみていた他の人たちも応援し、場を盛り上げてくれて。それをみた瞬間に、「あ、やることが大事なんだな」と思いました。なんでもある程度できるようになってしまうと失敗したくないとか、はずかしい思いをしたくないというのがあって、自分もチャレンジしないことが多かったのです。でもその方を見ていて、恐れずにやることが重要で、上手い下手も大事なんですが、それだけじゃないんだな、と感じました。
-その辺の考え方も変わったということですね。
和田 はい、変わりました。海外の人は人柄がおおらかですよね。よい面も悪い面もあるのですが生活環境もアバウトで、それが表現力につながっているんじゃないかなと思いました。日本はどちらかというと、時間にきっちりじゃないですか。それが向こうの人は数分は遅れる(笑)。でもそういう気持ちは大事というか、いろんな面でよいことにつながっていると思いますね。
-行ってよかったですか?
和田 最初は本当に不安だったんです。英語だし、一人見知らぬ海外で。いくら自分で行きたいと言ったとはいえ、ちょっと怖いなと。さらに出発直前になってくると、一週間もどうしようと思っていて半分以上を不安が占めていたのですが、帰ってきてみると、本当に行ってよかったなと思いますね。
-今後、留学する方へのアドバイスはありますか?
和田 なんでも自分に限界をつくらないで、行きたい時に行っておいた方が絶対プラスになると思います。自分でもそう思いましたし、マイナスになることなんて一つもなくて、行って分かることが絶対あるので。「留学」って響きがかっこいいじゃないですか。したい方もたくさんいらっしゃるでしょうし。留学したいと思っていても、パンフレットをみたり話を聞いたりはいくらでもできるのですが、それはあくまで話であって、自分で行かないと分からないことってあるんですよね。
私も来年留学したいなと思っていて、その中で今回行かせていただいたのですが、ロンドンの生活も分かりましたし、イギリスという国や音楽、人の空気は行かなければわからないことだらけだったので、行きたいと少しでも思っている人には「行け!」と言いたいですね。お金もかかることですし、みんながみんな行ける環境ではないと思うのですが、行ける人はぜひ行ってもらいたいと思います。
-では最後に、今後音楽家としての進路も含めてどのように活躍したいと思っていますか?
和田 今はサポートとしてバンドをやらせてもらっているので、そのバンドに力を入れてがんばっていきたいのと、来年はもう一度海外に行きたいな、と思っています。次は長期間行って、もっと向こうの国やいろんな音楽にふれたいなと。あっという間で今回ではまだまだ足りていないと感じています。世界を拠点に活動していきたいので、世界の音楽、いろんな音楽にふれていきたいですね。
-今後のご活躍を楽しみにしています!ありがとうございました!