H.Oさん/フィレンツェ語学+音楽コース/イタリア・フィレンツェ
H.Oさんプロフィール
国立音楽大学声楽専修4年。児童館での演奏会、県民オペラ、N響定期演奏会など様々な出演経験を持つ。プロの演奏家を目指し勉強中。
-まず最初に簡単な自己紹介ということで、これまでの音楽歴を教えていただけますか?
H.O 今、国立音楽大学の声楽専修の4年生です。小さい頃から歌うことが好きで、小学校4年生の時に合唱部に入って合唱をずっとやっていて、本格的に習い始めたのは高校2年生の時です。1年生の時に県民オペラにずっと出させてもらっていて、それでオペラの世界に興味を持ち、音大を受験しようかなと。
-オペラに出たのがきっかけだったと。
H.O そうですね。
-ちなみに今までは、海外の先生のレッスンに行かれたことはありますか?
H.O 海外ではありませんが、まだ地元の岩手にいた時に、日本人なのですがチェコの音楽院の教授に、一度レッスンをしてもらったことはあります。
-では向こうの方のレッスンは日本でも受けたことがあるということですね。
H.O はい。
-ご旅行などで海外に行かれたことはありましたか?
H.O 観光ではイタリアとか。あとは東南アジアが好きで行ったことはあります。
-今回もイタリアですものね。
留学しようと思ったきっかけはどのようなものでしたか?
H.O 入学してからずっと行きたいとは思っていました。やっぱり声楽ではベルカントの発声が大事だし興味深かったので、イタリア人の先生に習いたいなと漠然と思っていたんです。でも気づいたら4年生になってしまっていて、そろそろ本気で行こうと冬頃に決意しました。
-声楽のレッスンは、どんな先生でしたか?
H.O バレリア先生という方で、自分で40歳近いとは言っていたのですが、すごく若々しくてキラキラしていて、こんな人になりたい!と思うような先生でした。日本人のレッスンも結構持たれているみたいで、レッスンはイタリア語と、わからない所は英語を使って。あとは、軟口蓋とか横隔膜などは日本語でおっしゃってくれたので、すごくわかりやすかったです。
-日本人も教え慣れているということですね。
レッスンは全4回ですよね?
-どんな内容で進んでいったのですか?
H.O 申し込んだ時は、歌手のための発声と発音の2つのコースに分かれていたので私は発音の方をお願いしたのですが、行ってから先生に発音と、テクニックや発声法もみてもらえますか?と聞いたんです。
そうしたら時間内で、前半は発声練習として高音の出し方やテクニックを教えてくださいました。その後に「じゃあ曲をやろう」ということで、歌詞を読んで先生が発音を直してくださり、それで実際に曲を歌って、と、もりだくさんでした。
-1回のレッスンがそういう感じで進んだのですね?
H.O そうです。
-今回通訳なしのレッスンでしたが、言葉はどうでしたか?
H.O 困ることはなかったし、聞き慣れない単語があった時には、「その単語はどういうことですか?」と聞くと、「しゃべるように歌うということだよ」などとちゃんと教えてくれたので、レッスンには困りませんでした。
-先生とは基本イタリア語で会話を?
H.O はい、ほぼイタリア語です。
-すごいですね! 勉強していった甲斐がありましたね。
H.O そうですね(笑)
-レッスンや先生の言葉で印象に残っていることはありますか?
H.O 今まで自分で気づかなかったのですが、高音を歌う時に舌が上がってしまっているということをすぐに見抜いて、指摘してくださいました。それができれば発声が楽になるよと言われて。実際帰ってきてから舌を下げることを意識して歌ったら、とても歌いやすくなったので、的を得ているなという感じでした。
また、こちらが聞かなくても、先生の方から「ここはできている、ここはできていない」とバシバシ言ってくるのですが、最後のレッスンで、「あなたは1週間で何を学んだか」を言わされたり、「これを続けていくためには、どういう練習をしたらいいと思う?」と問われたり、教えるだけではなく、自分でも考えさせるようなレッスンをしてくださったので良かったです。
-日本とはまた違う感じですよね。
バレリア先生はどこか他の学校でも教えているのですか? 歌手としてご活躍されているとか?
H.O 演奏家としてまだやっていらっしゃるようです。他の学校で教えているかはわからないのですが、演奏旅行などでいない時があるということは聞きました。
-ではご自身もバリバリ歌われていると。
H.O はい、すごく綺麗な声でした。
-歌ってくださったりもしましたか?
H.O はい、たくさん! レッスンは1曲まるまる通しでなく、ワンフレーズごとに歌って止めて、先生がお手本で歌って止めて、という感じだったので、たくさん歌ってくださって勉強になりました。
-それはよかったです。
レッスンの合間の練習は語学学校で行ったのですか?
H.O そうです。
-たくさん練習できましたか?
H.O はい。学校に練習室が5つあって、予約帳に名前を記入して予約するというシステムで30分単位で借りることができます。一人につき原則1日1時間なのですが、1時間練習し終わったあと予約帳を見て、もし空いていたら次もずっと練習することができます。
-なるほど。実際練習は結構されましたか?
H.O そうですね。私が行った時期は音楽の方が少なかったのか、練習室はずっと空いている状態で使い放題でした(笑)。
-よかったです。
語学のコースも通われていましたが、初めての現地での語学学校としていかがでしたか?
H.O 教え方が上手で、明るく冗談なども言ってくれるし、生徒全員の名前を覚えてくれようとしたりと、とてもいい先生でした。日本と違うなと思ったのは、文法を一通り教わると、その後の残りの時間はペアで習った文法を使ってひたすら会話をするという内容だったことです。習ったものをすぐに使うので、すごく身に付きました。授業後すぐに街で使えたりもして。イタリア語が身に付く授業だなと思いました。
-クラスは全部で何人くらいいたのですか?
H.O 8人です。日本人がその内5人です。
-日本人が結構多いのですね(笑)。
H.Oさんくらいだとレベルはどのあたりに入っていたのですか? 初級ではないですよね?
H.O 「エスプレッソ」という、アンドビジョンの語学レッスンと同じ教科書を使いました。日本で、エスプレッソの「1」を最後までやったのですが、それでイタリアに行ったら、「2」をとばして「3」のクラスに入りました。
-一つとんでしまったのですね(笑)
H.O はい、たぶん大丈夫だからと言われて(笑)。不安だったのですが。
-大丈夫でしたか?
H.O 初日の授業は頭がパンクしそうでどうしようと思ったのですが、2日目からは耳が慣れるのか、何が分かって何が分からないのかが分かり、分からない所は質問できました。先生の説明がうまいので、ほとんど理解することができました。
-語学もかなり上達されたのでしょうね。
語学やレッスン以外の時間は、どこかに出かけたりはしましたか?
H.O フィレンツェでは友達とご飯を食べに行ったり買い物をしたり、あとは家で宿題をしていました(笑)。
-宿題は多いのですか?
H.O それほど苦になる量ではないのですが、「スピーチをしてもらうから考えてきて、紙をみて言っちゃだめだよ」というような内容で。
-では、勉強もしつつ観光もしつつという感じですね。
フィレンツェの街の様子はいかがでしたか?
-移動はトラムやバスですか?
H.O フィレンツェは徒歩圏内に観光地が集まっているので、徒歩で移動していました。
-泊まりはホームステイでしたが、イタリアのホームステイはどうでしたか?
H.O まず家の掃除が行き届いていて、ホテルのように綺麗でした。基本的になんでも揃っていて、部屋に虫除けのコンセントをさすものまであったり(笑)。ドライヤーもあったし、生活面では不便はまったくなかったです。
-ホストファミリーの方はどんな方でしたか?
H.O すごく気さくで親切な方でした。ロストバゲージして荷物がない状態だったのですが、Tシャツを貸してくれたり。お別れの日も「これ作ったから持っていきなさい」と、パニーノを持たせてくれたりと、すごく優しいお母さんでした。
-ではホームステイでも特にトラブルもなく?
H.O はい。ありませんでした。
-ホストファミリーの方ともイタリア語での会話ですか?
H.O そうです。イタリア語でわからない所は英語でと思っていたのですが、大家さんが英語が全然できない方だったので、なんとか全部イタリア語で。
-意思疎通はできましたか?
H.O 「何時に何」といった連絡事項はわかったのですが、普通の世間話などは、最初は分からないままどんどん会話が進んでいってしまいました。最終日には耳が慣れてくるのか、わかるようになりましたが。私がしゃべる言葉も文法などが間違っていても、「ああそういうことね」と理解しようとしてくださっていました。
H.O 朝と夜がついていました。
-イタリアのご飯はいかがでした?
H.O 朝はタルト、蒸しケーキ、紅茶という感じの甘いものばかり。夜はだいたい一皿目にパスタ、二皿目に魚か肉のお料理で野菜のつけあわせがあり、最後にデザートが出てくるという感じでした。
-フルコースみたいですね!
H.O 他の家もそんな感じだと聞きました。すごく量が多かったですが、おいしかったです。
-お昼はどうされていたのですか?
H.O 友達と食べに行くか、パニーノ屋さんで食べたりしていました。
-自由にされていたのですね。
お友達というのは語学学校の方ですか?
H.O はい、日本人の友達です。
-他に海外のお友達はできましたか?
H.O それが全然できなくて。語学学校に日本人が多すぎて、外国の方も外国の方で集まってしまうので全然話せなかったんです。それがちょっと残念でした。
-場所と時期もあったのでしょうね。
では実際にイタリア語で話したのは先生やホストファミリーの方と?
H.O そうです。
-今回、留学中に困ったことやビックリしたことはありましたか?
H.O 困ったことは、まず行きの便が欠便になってしまったことです。フランスで乗り継ぎ便に間に合わないので、航空会社の方が遅いのに替えておきましたと言ってくださっていたのですが、いざフランスに着いたら便が替わっておらず予約できていなかったんです。どうしよう!と思ったのですが、なんとか英語で「これを次の便に替えてもらえますか?」と伝えたものの、「ダブルブッキングになるから無理だよ」と言われてしまい……。それでも「ここで乗らないとダメなんです!」と必死に訴えていたら替えてくれました。
-なるほど。
H.O あとは、フィレンツェでよく道に迷いました。似たような路地が多いので覚えたつもりでも間違ってしまうし、「一本手前の路地に入っちゃったけど、ここで曲がればいいや」と思っていたら全然違う所に行っちゃったり(笑)。
-街並がどこも同じような感じなのですかね(笑)
ステイ先から語学学校までは迷わず行けましたか?
H.O 語学学校までは簡単な道だったので大丈夫でしたが、ちょっと遠い所まで買い物に行ったりして、さて帰ろうという時に、あれここどこだろう?というような(笑)。
-そういう時は地図を片手に?
H.O 紙の地図をみたり、googleマップをひらいて自分はどこにいるのだろうと調べたりです(笑)。
H.O ロストバゲージした時に、携帯の充電器などをスーツケースに入れてしまっていたので、貴重品などのすぐに必要なものは手荷物に入れておくべきだったなと思いました。着替えなどは現地で買えたので、なんとか大丈夫でしたが。
-今回は行きの、着くまでが大変だったということですね。
ではお話をかえて、今回留学して自分で変わったと思うことはありますか?
H.O 今まで日本の先生に習っていた時は、漠然とダメと言われることが多くて、具体的に何がダメでそれをどう改善すればいいのか教えてもらったことがなかったのですが、今回バレリア先生ははっきり言ってくださる先生で、そのおかげでどういうことをすればいいのかがわかりました。そういうことに気づけたのが大きかったです。
-大きく成長したな、という所ですかね。
H.O はい。あとは語学関係が成長できたかなと思います。
-いろんなトラブルもありましたものね。
H.O 空港なども意外に日本人がいなくて、トラブルがあっても自分一人で対処していかなければならなかったので、泣きそうになりながらも自分でなんとかできたので、がんばったかなと。
-自信にもなりますよね。
H.O イタリア人はあったかいというか、困っている人を見捨てないんです。お店に入った時も声をかけてくれたり、絶対チャオと挨拶してくれるし、そういう温かさにふれて自分も心が洗われたというか。人に優しくしたいなという気持ちになりました。
-お店の方とも会話はしましたか?
H.O はい。普通に買い物をするための会話もするし、「この間、そこの語学学校に来た生徒なんですよ」と言うと「がんばってね」と言ってくれたり。
-語学面も成長されたのですね。
留学前にしっかりやっておいた方がいいことはありますか?
H.O やるとなると少し高くつくかもしれませんが、マンツーマンでネイティブの方と会話のレッスンをしておいた方がいいと思います。大人数で文法の授業だけをカリカリやるのでなく、いっぱい話す練習をしておいた方がいいと思います。今回もすごく役に立ちました。やっておくと割とスッと出てくるものなので。
-今後留学に行かれる方にアドバイスはありますか?
H.O はじめて行く方だったら、今回私が行ったような日本人スタッフさんがいる語学学校はおすすめです。分からないことがあっても全部日本語で教えてくれるので、はじめてだったらその方がいいかもしれないです。
2回目とか、語学に自信のある人は逆にいない所の方がいいとは思いますが。自分の勉強になるし、外国人のお友達もできると思うので。
-次H.Oさんが行かれる時は、そういう所に行きたいですか?
H.O そうですね。今回は日本人がいっぱいいたので、お互いに不安をしゃべりあったりして安心できたのですが、慣れたので次はイタリア語一色の所に行きたいなと思います。
-今後はまた留学したいとか、将来的に向こうに住みたいとかありますか?
H.O 今回の留学をきっかけにもっとイタリアで勉強したいなと思っていて、できればまたバレリア先生に習いたいなと。将来的にはイタリアの音楽院で勉強したいなと思っています。
-語学もしっかりですしね。
イタリアの音楽院にいって、将来的にはイタリアで活躍したいなとか?
H.O できたらイタリアで。日本より外国の方がオペラの仕事が職業として確立しているので、外国で活躍できるような歌手になりたいと思っています。
-応援しています!